臨床法学セミナーのお知らせ(12月2日(水)18:15- オンライン)

早稲田大学臨床法学教育研究所は、下記の臨床実務系セミナーを、臨床法学教育学会との共催により開催いたします。
ご関心のある方は是非ご参加ください。

主催:早稲田大学臨床法学教育研究所
共催:臨床法学教育学会
日時:12月2日(水)18:15~19:15
開催媒体:リモート会議システム「Zoom」

(事前登録の必要はありませんが、ご参加予定の方は、当研究所のメールアドレス、
Rinshohoken-Jimu@list.waseda.jp 宛にご連絡頂けますと幸甚です。)

演題:「司法修習の側から見た法科大学院の臨床教育ーその独自の意義と位置づけ」
講師:山口卓男(弁護士、前司法研修所民事弁護教官)
報告概要:新制度発足当初、修習生の課題として、実定法の基礎的知識の不足が指摘されていたが、最近では、事態はそのような単純なものではなく、事実と法理論との間を往還する思考方法が修得できていないことに問題の本質があると捉えられるようになってきた。このような思考方法は、旧来は、実務修習の中で多くの事件に触れる中で巧まずして獲得されてきたものであるが、現在の短縮された修習ではその醸成が不十分になっていると見られる。そこで、修習期間の再延長を主張する意見もあるが、新制度は、その役割を法科大学院に担わせる建付けになっている。つまり、法科大学院における臨床教育の機能が、事実と法理論を往還する思考方法を涵養することになるとすれば、上記の現象の原因は、法科大学院が本来の使命を果たしていない点にあるというほかない。そして、法科大学院教育と司法修習の本質的な差異は、自由な学術環境における研究・教育であるか、国家資格を付与するために設営された公的な義務的研修プログラムであるかの点にある。後者の利点は、ありのままの実務を存分に見分させることにあるが、自由主義的契機から、価値にかかわる領域に踏み込むことはできない。前者は、資格取得前の過程であって実務へのアクセスには多少の制約はあるが、他方で、「何を目指してどうふるまうか」というプロフェッショナルの人格に化体された価値や目的にかかわる議論が自由にできる。この部分の教育が欠落しているのが、現行法曹養成制度の根本的な欠陥と見られる。そうであれば、「修習があれば法科大学院での臨床教育はいらない」という議論がいかに的外れであるかがわかる。法科大学院の課題は、その本来の使命を果たすために、臨床教育を軸に据えた教育プログラムの再構築である。